夏休み映画感想文『シン・ゴジラ』
やぁやぁ、よーすけぴっぴだよ。
先日映画『シン・ゴジラ』を観てきたんだけど、とっても面白かったので、感想を書いてみたよ。
※ネタバレを含むので見てない人は注意。
* ゴジラと監督
観終わった直後の素直な感想は「悔しいけど正直面白かった」だった。なぜ「悔しいけど」だったかというと、これが監督・庵野秀明による映画だったからだ。映画を観る前は「庵野仕事しろ…はよエヴァ終わらしてくれよ…ゴジラとかええねん…」という感想だったけど、こんな面白い作品作られたらぐうの音も出ない。
監督自身も特撮オタクで、「日本の特撮業界をなんとか復興させたい」と思っているみたいな話はどこかで聞いたことがあった。多分今回ゴジラを撮ることになったのもその関係だと思うけど、結果としては大成功だったんじゃないかと思う。話題にもなっているし作品自体もちゃんと面白いし、多分興行収入も中々いい感じに違いない。きっちり「次回作もあることを匂わせるシーン」も入れていたので、多分『シン・ゴジラ２』は制作される気がする。歴代のゴジラと戦った怪獣のどれかが出てきたりするんかな？でもリアリティ重視だとメカゴジラは出せんよなー。
ただ、今回の『シン・ゴジラ』のヒットで監督が「特撮まだいけるやん！流れきてる！ガンガン続き作ったろ！」という気持ちにならないかどうかが少し不安。そんなことされたら益々エヴァの完結が遠のいていく…と思ったけれど、面白いゴジラシリーズを作ってくれるならエヴァは後回しで良いかなという気もしてきた。『Q』の謎の急展開&鬱展開のままラストにもっていかれるぐらいなら、ちょっと期間を空けて監督自身にもう少し考えなおす時間をとってもらった方が良いかもしれない。俺は『序』とか『破』みたいな、エンタメ要素の強いハッピーエンドに向かうエヴァが観たいんや…
* ゴジラとリアリティ
今回の映画の魅力、面白さのキモはなんといっても「リアリティ」にあると思う。
「多摩川作戦」と呼ばれる自衛隊とゴジラの戦闘をはじめ、そこに至るまでの経緯。未確認巨大生物に対する政府の初期対応の様子やそれに伴う官庁の動き。この二つが非常にリアリティがある。特に戦闘に関しては、本職の人が「作戦内容が完璧に教科書通りで作戦本部の描写も完璧」と太鼓判を押していた、という話をネットで読んだ。どこまで本当の話かは分からないけれど、映画を観た後だとそういうこともあるかもねと思ってしまう。それぐらい説得力のある映像だった。
その他の細かい描写も中々凝っていて、机の隅にガムテープで貼っつけてあるビニール袋(仮設ゴミ箱)にカップ麺の容器が大量に入っている描写とか、官庁職員の奥さんからの差し入れのラップに包んであるおにぎりとか。あーきっと3・11のときもこんな風景があったんだろうなと用意に想像できるような、「のっぴきならない状況で頑張る人たちのいる風景」がリアルに描写されていた。
* ゴジラとイマジネーション
リアリティの話とも少し絡んでくるのだけど、印象に残ったシーンで、ゴジラを超至近距離から仰ぎ見るシーンがあった。電線や屋根の向こうでゴジラがゆっくり胴体を揺らしながら歩いていて、画面端から尻尾がブオンと振りかざされる迫力のシーン。俺はこれを見た時にその迫力も去ることながら、「映画を撮る人間達の想像力」にとにかく関心してしまった。
だってさ、ゴジラって、CGなんだよ？本当は空を見上げても何もいないんだよ。だから彼らは「空メインに電線や屋根がちょろっと写ってるだけの景色」を、「ここにこんなサイズのゴジラがこうグワ～と歩いてて、そんでこうこの辺りから尻尾がブワ～って振り回されるから、電線や屋根はこの辺にある絵が撮りたい！」ってイメージしてあの空を撮影した。何もない空に全長120メートルの空想上の怪物をリアルに描ける、そういう才能があのシーンを作ったんだと思うと、とんでもない妄想力だよなぁ。
エンドロールが流れ終わって館内から出る途中、オタクと思しき二人組の片方が「…つーかエヴァじゃんw」 と漏らしているの聞いた。俺は心の中でそっと「いやそれな。」と返事をしておいた。それぐらい『シン・ゴジラ』はエヴァだった。もうシン・ゴジラってかシン・ゴジエルですやん！と突っ込みたくなるぐらいエヴァエヴァしかった。BGMなんかは堂々とエヴァ新劇場版と同じものを使っていたし、都市中枢に居座った敵に対して全方位射撃で陽動をかけた後日本中からかき集めたリソースを叩き込む、なんていう展開は、まさにネルフ(怪物と戦う組織)がラミエル(ゴジラ的怪物)に取った作戦そのものだった。作戦名もエヴァが「ヤシマ作戦」だったのに大してゴジラは「ヤシオリ作戦」、劇場で聞いた時は思わず「作戦名まで似せてんの！？」とびっくりしてしまった。(ただ、この「ヤシオリ」というのは八塩折、日本神話でヤマタノオロチを酔わせるために使ったお酒の名前を取っているというのを後から知った。)
…を書こうかなと思ったけど疲れてきた。ざっくり書くと
・石原さとみの英語がひどいと叩かれているのを読んだ。けどそうは思わない
・ひどいのは英語ではなく、彼女の演じたキャラクター。登場人物の中で一番「リアリティ」がない。
・理由は分からないがとにかく「アニメ的」だった。もっというとエヴァの女キャラの特徴を無理やり詰め込んだ感じ。
・まぁでも可愛かったのでええやん
そんな感じ。
* おわりに
「久々にもう一度観たくなるレベルの名作」を劇場で観ることができて非常に満足でした。チャンスがあればもう一回行きたいレベル。いやぁ、映画って本当にいいものですね(水野晴郎風
